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佐藤鶴雄さんを偲ぶ会報告及び要望書

「佐藤鶴雄さんを偲ぶ会報告及び要望書」を、市長と市福祉事務所長あてに提出しました。

                              2010年2月10日
国立市長 関口博 様
国立市福祉事務所長 雨宮和人 様
                            国立市谷保
                            阿部ひろみ

           佐藤鶴雄さんを偲ぶ会報告及び要望書

この度は佐藤鶴雄さんを偲ぶ会の後半部「福祉に関する市民懇談会」のために市役所第6会議室を貸して下さいまして、ありがとうございました。ここにお礼と当日のご報告をし、合わせて佐藤さんのケースを今後に活かすための要望をさせていただきたいと思います。
佐藤鶴雄さんは、ご本人のお話によりますと、国立市で10年間ホームレスとして暮らし、うち5年くらいを谷保駅付近で暮らしていました。駅周辺をきれいに掃除し、自転車を整頓していました。掃除は、谷保駅付近を自主的に掃除していたタクシーの運転手さん達の声かけで始まり、運転手さん達は掃除の度にチップを渡していたそうです。適切なアドバイスだったと思います。掃除している姿を見た人たちは、差し入れをしたり、声をかけたりして、関わりを持っていました。福祉の窓口に行くことを勧めた人も何人もいましたが、「前に施設に入れられて喧嘩して出てきたから、行かない。」と言っていました。私は佐藤鶴雄さんには今までにも何度か差し入れをしていましたが、市内のホームレスの方々の窮状を見かねて、この年末年始に他の方も含めて差し入れをさせていただきました。「国立おたすけ村」と称し、友人と二人で行いました。佐藤さんとは1月1日に一緒に年末年始緊急一時金を受け取り、1月5日に生活保護申請に同行しました。そこで初めて、佐藤さんには新潟に親戚がいて鶴雄さんを捜していることが分かりました。明日迎えに来ると分かり、身なりを気にされる佐藤さんのために入浴できる宿を探しました。全身にある疣のために、他に方と一緒の入浴施設は使えない状態でした。国立市内には無いとのことで、同行してくれたボランティアの方のはからいで他市の民間アパートに行きました。そこで、夕方、入浴中に脳内出血で亡くなられました。62歳でした。八王子で荼毘にふされ、故郷新潟に帰った佐藤さんに国立で関わりを持っていた人たちは何もすることができませんでした。死亡したことさえ知らずにいることになります。そこで、偲ぶ会を実施し、すこしでも多くの皆さんにお知らせしようとしました。反響は大きく、電話での問い合わせも多くありました。実に多くの方が様々な関わりを持っていました。皆さんの少しずつの善意のリレーが佐藤さんの生活と命を支えていたのだということが分かりました。
1月23日、偲ぶ会当日、準備のために谷保駅に行くと、白い布がかかった大きなテーブルが置いてありました。JRさんのご厚意でした。谷保駅での献花に参列して下さったのは約60名です。新潟のご親戚からのご挨拶には、「25年も行方しれずになっていた鶴雄を探し出すことができて、感謝している。都会の人は冷たいと思っていたが、今回のことで人の温かさを感じた。」とつづられていました。
市の会議室に参加して下さったのは約30名です。主な意見は次のようなものです。 
・ 佐藤さんは15歳で上京し、イタリア料理のコックをやっていたが、体のことをからかわれて店を辞め、建設現場で働いていた38歳の時に倒れたと言っていた。それ以降、すり足の歩行になり、短期の記憶ができなくなったようだ。市役所の職員の方も谷保駅を利用するので声はかけていたと思うが、忘れてしまったのだと思う。直接連れてきて欲しかった。市役所の窓口では申請を受け付けてくれないことが多いと聞いていたので、同行して申請を受け付けてもらう方法を学習してからお連れした。一度嫌な思いをされているので、もう一度嫌な思いをされたらもう二度と福祉の窓口にはつながらないだろうと思ったから慎重だった。でも、自分の仕事や生活の合間を見ての準備だったので、時間がかかりすぎてしまった。
・ 行政は冷たい。私は住むところを世話しようと思って、佐藤さんに本籍地を聞いて連絡を取った。記憶があやふやだったので何度目かでようやく昨年秋に連絡がついた。ご親戚がさがしに来た。
・ 谷保駅を通勤で使っている。ボランティアの方のおかげで最期を暖かくすごせたと思う。
・ 夏、飲み物を差し入れした。ボランティアはだれでもできると思う。
・ 一昨年、佐藤さんとじっくり話した時に新潟のご親戚のことを知った。市や親戚の方にもっと早く教えてあげれば、手をさしのべることができたかもしれない。 
・ 駅前で店をやっているので、よく食べ物の差し入れをしていた。佐藤さんが着ていた物を着ていた人がいた。持ち物もよく無くなっていたようだ。
・佐藤さんのことを忘れないようにしたい。あの谷保駅の場所を思い出の場所にしたい。

国立市への要望
1ホームレスの方をお連れしたら市は優しく対応してくれると、市民に知らせて欲しい。
2市内にシャワーの施設を設けて欲しい。
3路上生活は1日でも大きなダメージになります。すぐに手をさしのべて欲しい。
4健康診断を受けさせて欲しい。
5年末年始緊急一時金の制度をもっと市民に知らせて欲しい。
6現在市内にいるホームレスの方に早く手をさしのべて欲しい。

 以上は個人としての要望ですが、「市民懇談会」参加者で連絡先が分かる方や今回の件の関係者には経過をお知らせしていきます。国立派遣村と市との話し合いに参加させていただいておりますので、次回話し合い時にお答えをお願いします。私は国立市が人に優しいまちになるように協力していきたいと考えています。そういう市民はたくさんいます。たくさんのケースを抱えて忙しい職員の方に、市民が協力できることがきっとあるはずだと考えます。どうぞご検討ください。

by abehiromiblog | 2010-02-10 20:01 | 憲法